失敗しないオリジナル商品の作り方を押さえておこう!
昨今、美容室でオリジナル商品を作る事例がとても増えてきていますが、同時に多くの美容室では最初に作った在庫を売り切れずに終わってしまっています。
“いざ作ってはみたけど全然売れなかった”となってしまう前にしっかりと注意点を把握しておくことで、失敗しないオリジナル商品作りを目指していきましょう。
ここでは、オリジナル商品を作りたいとお考えの美容室に向けた事前のお役立ち情報を紹介していきます。
■オリジナル商品作りにおける正しい委託方法5選
1、商品企画は入念に検討する
OEM会社へ委託する前にまず考えておかなければならない重要なポイントが3つあります。
それは、「なぜオリジナル商品をつくるのか」という目的の明確化、「どんな商品をつくるのか」の商品コンセプト設計、そして「どのように販売していくか」の販売戦略です。
目的の明確化
ここで言う目的とは、「なぜオリジナル商品をつくるのか」の事です。オリジナル商品をビジネスツールとして販売を拡大し利益を上げることなのか、美容室のブランディングの一環としてつくるのか、自分がこだわった本当に良いモノを顧客に届けたいのか。
目的が変わればつくるモノも販売戦略も変わります。この目的を明確にしておくことで、どのような商品をつくるのかの方向性をしっかりと定めておきましょう。
コンセプト設計
市場にモノが溢れている今現在、“こだわった良い商品”だけでは確実に売れる保証はどこにもありません。どのようなニーズや悩みがあり、どのような商品であればそれに応えられるのかを考え、「どんなターゲット層に向けて」、「どんな商品をつくるのか」を決めていきましょう。
その他、スタート段階で展開する商品はまず1商品から、多くても2、3商品までに絞ることが望ましいです。まずはシンプルな品目から始め、そこに対して持ちうるリソースを投入して、ターゲットへ確実に訴求することに注力していくことが大切です。
ラインナップの充実は、販売が順調に進みブランドを確立した後に考えていきましょう。
販売戦略
オリジナル商品はつくって終わりではありません。せっかく商品をつくってもお客様の元に届かなければ意味がありません。ターゲット層にはどのようなプロモーションで、どういった訴求であれば響くのか、本当に必要とされる方の元にオリジナル商品が届けられるように戦略を練っていきましょう。
2、委託するOEM会社選定は慎重に。失敗しないための確認事項。
まず確認しなければいけないのは、作りたいと思っている商品がそもそも作れるのかどうか。ヘアシャンプーは作れるけど、ヘアワックスは作れません。といった製造企業は少なくありません。
そのため、どのような商品を作ろうとしているか次第で、大まかな候補選びを行ってみましょう。
その次に確認していきたいのが、以下の項目。
最小ロット
各OEM会社によって製造を請け負ってくれる最小ロット(最小本数)は違います。
100本から可能な会社もあれば、3,000本からの会社もあります。予算や展開規模、在庫スペースなど自社の状況を鑑みながら希望するロットで製造してもらえるOEM会社を選ぶことが重要です。
コスト
価格も各OEM会社によって変わりますが、基本的にはロットが大きいほど1本あたりのコストは下がります。
また、各会社ごとに経済ロット(一定以上のロットを超えると価格が大きく下がる)がありますので、小ロットだと一番コストが高いところでも、ロットが大きくなれば一番コストを抑えられるようになる場合も出てきます。希望するロットでのコストと、経済ロットの両方を確認すると良いでしょう。
担当営業
OEM会社の担当営業によって最終的な製品の完成度はもちろん、納品までの進行にも大きく差がでることも覚えておきましょう。OEM会社の候補を何社かに絞った段階で担当となる営業に会ってみて、提案の内容や段取りのスピードなど、どんな人物か判断できるとより確実です。
納品方法
納品はどこもの会社でも一括納品が基本となります。在庫スペースの関係で全てを置ききれない可能性がある場合は、分納に対応してもらえるかどうか事前に確認をしておくのをおススメします。
初回注文時の支払い
支払いは初回の場合は全額前金払い、もしくは、注文時に半額支払い、納品前に残金支払いの分割支払いとなり、2回目以降の依頼時は支払い方法を協議して決める場合その他、支払いサイトについては「当月末締めの翌月末払い」となる会社が多いです。
トラブル時の対応
各OEM会社では、納品前に厳しい検査を行い不良品がないように品質管理を徹底いていますが、もしも明らかに製造元が原因の不良品があった場合は返品や交換の相談を受け付けてくれます。
対応は各会社でも変わりますので、心配であれば事前にトラブル時にどういった対応をしてもらえるのか確認しておくと安心です。
3、処方開発で理想の商品をつくるには
試作品テストの進め方
オリジナル商品で重要な中身の開発ですが、まずはOEM会社へ商品イメージや要望を伝えた上で試作品を依頼することから始まります。
試作品は大抵の場合2週間以内には届きます。テストと評価を繰り返し納得がいくまで改良を行っていくのですが、この出来上がった試作品は自分で使用する以外にもできるだけ多くの人にモニターをお願いしましょう。
多くの人に試してもらう事で、様々な髪質・肌質で使用したパターンの評価を集めることができます。また、評価を集める際は口頭ではなく評価項目を数値化したアンケート形式(例えばシャンプーであれば泡立ちの良さの項目を5段階から選んでもらうなど)にしすることで、モニターの評価が見える化され、統計もしやすくなります。
なお、並行して何社かOEM会社へ試作品を依頼している場合は、この段階で各OEM会社の試作品を比較し、イメージする商品に辿りつきそうな先の中から最終的に製造を委託する会社を決めていきます。
試作品改良の進め方
試作品のテストで集まった評価を元に次回の改良点をOEM会社へ伝え、改良試作品をつくってもらいます。改良試作品が届いたら再度テストし、同じように再度改良点を伝えて試作をお願いするプロセスを何度か繰り返して、イメージする商品に近づけていきます。
改良を依頼する際は、“もう少し使用感を上げてほしい”や“できるだけ質感を軽くしてほしい”などの感覚的なニュアンスでは相手に伝わりにくい為、どこをどの程度改良してほしいのか、数値化した評価の統計とそれに伴う改良点を具体的に伝えることで次回試作品のクオリティUPと試作に費やす期間の短縮に繋がります。
香りの進め方
商品にとって香りは重要なファクターであり、是非こだわりたいポイントかと思います。
ただ、こだわりすぎると一番時間と労力が費やされてしまう部分でもあり、できるだけ具体的な希望やイメージをもって進めていくことが大切です。
依頼段階で“この香り”と決まっている場合は早いのですが、漠然としたイメージしかない場合は必ずイメージに近いベンチマークとなる香りをいくつか用意してOEM会社へ依頼しましょう。香りの実物があることで、相手もイメージしやすくなります。
4、製品仕様の選定方法について
容器の選定について
容器は、基本的に自社で容器メーカーなどから仕入れをしてOEM会社へ支給することになります。
材質や大きさ、形状やデザインなど様々な種類があり、各容器に最低ロットと単価が存在しますので、商品イメージに合う容器をロットやコストとのバランスも考えながら選定していきます。
注意点としては、容器とバルク(中身)には相性があり、容器の材質とバルクに含まれる成分の相性に問題があると容器の変形や漏れなどが発生する可能性がある為、選ぶ容器が適切な容器であるかどうかを必ず受託会社へ確認しましょう。
デザインの選定について
デザインは、ラベルまたは容器印刷(容器に直接デザインを印刷する)の2パターンになります。
ラベルは容器印刷に比べ比較的安価なのとロットもある程度融通がきくのがメリットです。また、最初から複数のラインナップで商品を製造する場合など、共通の容器でラベルだけ替えるといったこともできるので、コスト削減にも繋がります。
デメリットとしては、容器印刷に比べ高級感の点で見劣りしやすくなります。容器印刷の方は、ラベルとは逆に高級感を出せるところがメリットになりますが、デメリットはロットの制約が大きい(容器印刷は1,000本から)のと、コストが高くなることです。オリジナル商品を小ロットで製造予定(1,000本以下)の場合はラベル、1,000本以上製造予定の場合はラベルか容器印刷を選べる、といったイメージです。
その他仕様について
シュリンクや化粧箱など商品の包装をする場合は別途準備が必要となります。
ただ、シュリンク、化粧箱とも大きいロットでの発注が必要な場合も多いため、包装は無くすといった選択肢もありです。
5、依頼(本発注)の際の注意点
発注本数の考え方
初回に発注するロットはあくまでも販売計画と販売予測に沿ったロットで発注するのが重要です。
もちろんロットを大きくすれば1本あたりの単価は下がりますが、その分在庫本数や保管スペース、初期費用のリスクは大きくなってしまいます。
予算もあり最初から大きな展開を予定している場合は問題ありませんが、そうでない場合は初回はできるだけ在庫と初期費用を抑えてスタートし、順調に販売本数が増えてきてから発注ロットを増やしていく考えでいましょう。
■オリジナル商品の委託方法に新しいが出てきています
OEMは、初期費用や在庫リスク、保管スペースの確保など大きな費用と高いリスクが発生します。
さらにそのオリジナル商品が確実に売れる保証はどこにもない為、OEMは様々なリスクの観点からまだまだ手軽には手が出しにくいというのが現状です。
そんな中で現在、OEM受託会社ではなく自社ブランドを販売する化粧品販売メーカーが製造から企画・販売のサポートまでしてくれるという新たな選択肢が出てきています。
化粧品販売メーカーに依頼する大きなメリットとしては、容器や中身などの資材をメーカーと共有することでロットのリスクを大幅に減らしたり、中にはバルク(中身)をメーカーの既製品から提供してもらうことで数本単位からオリジナル商品をつくれる場合もあります。
その他、実際に自社ブランドを販売しているメーカーだからこそ持っている販売のノウハウや具体的なアドバイスなどのサポートが受けれるといった販売面でのメリットがあります。
最初は費用とリスクをできる限り抑えてスタートしたい場合も多いかと思いますが、そのような時はOEM受託会社ではなく、化粧品販売メーカーに依頼してみることをおススメします。
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