美容室やエステサロンでPB商品を作る前に知らないと「まずい」ポイントをご紹介
近年様々な業界で多くの企業が取り組んでいるPBですが、美容室での需要も年々増加しており既に取り組み始めているところも多く存在します。
その一方で、最初に作った在庫を売り切れずに苦労をしている美容室が多いのも事実です
この記事では、PB商品を検討している美容室向けにPBの概要や注意点、重要ポイントを解説し、成功に繋がる情報を提供していきたいと思います。
■PBとは
オリジナルPBとは?
PBとは、「Private Brand(プライベートブランド)」の略語で、小売店や卸売業者などの企業が独自に開発したブランド(商品)のことです。
PBの仕組み
PBは、自社ブランドの製品をつくって販売したい企業が製造を請け負ってくれる受託会社に依頼して作ります。
例えばシャンプーをつくるには製造設備や専門の技術・知識、製造販売の許可等が必要となりますが、それらを持ち合わせていない企業でも商品を製造できる設備や技術を持つ受託会社へ依頼することでオリジナルのシャンプーを作ることが可能となります。
PBのメリット・デメリット
メリット
1、中身からデザインまで理想の商品を作ることができる
PBでは消費者のニーズや自社で考えた商品コンセプトにあわせて成分や容器、パッケージ等をオーダーメイドで製造することができ、市場にある商品と差別化・独自化を図ったオリジナル商品を生み出すことが可能です。
2、販売価格と利益率を自社で自由に設定できる
PBでは販売価格と利益率は自社で自由に設定することができます。
利益率の高い販売価格に設定し、拡販できれば大きな売上と利益を得ることができます。勿論、高く設定しすぎれば販売に苦労することになりますので、商品原価と商品の需要、競合商品との兼ね合いを加味しながら適切な価格設定を考えていくことになります。
デメリット
1、仕入ロットが大きく、在庫リスクや在庫スペース確保が心配
最小ロットは受託会社によっても変わりますが、おおよそ1,000本からのところが多くなります。
ロットが大きくなれば費用も膨らみます。また、PB商品はもし売れ残ってしまった場合でも返品ができないため、売り切れないと在庫リスクも大きくなります。
その他、更に大量の商品を保管する在庫スペースの確保も必要となります。中身や容器などどの程度こだわっていくかにもよりますが、最初はできるだけ小ロットでスタートできるように進めていく方が安心です。
2、ブランドの認知度・知名度が0からのスタート
最初は認知度、知名度ともほぼ0からのスタートです。
どんなに良い商品をつくっても、顧客に存在を知ってもらえなければ価値を提供することすらできません。
美容室に来店する顧客のみへの販売であればそこまで認知度・知名度の影響はありませんが、それだとどうしても母数に限界出てくるのも事実です。
もしECサイトなどを展開して拡販を狙っていくのであれば、必然的に認知してもらうためのプロモーションが必要となってきます。
その場合、むやみやたらに広告などを打ち出すだけでは費用だけかかって効果がない場合が殆どです。
競合他社商品との明確な差別化ポイントをターゲット層に最大限訴求できる媒体に絞り、費用対効果とのバランスを見ながら適切なプロモーション戦略を展開していくことが必要となってきます。
■3つのポイントを徹底解説
1、OEMメーカーはどうやって選定すればよいの?
技術力が高いかどうかを確認してみよう
受託会社によって技術力には差があり、それは製品のクオリティに直結する重要な要素となります。
また受託会社によってヘアケア製品が得意なところ、スキンケア製品が得意なところなど得意分野・不得意分野も存在します。
全く同じ希望を出して作ってもらった商品でも、依頼した先が変わればクオリティも変わります。
総合的な技術力が高く、更に作りたい品目を得意としているところに依頼できるのがベストです。
それには、何社か受託会社へ試作品を依頼して比較し、試作品のクオリティや試作品改良の依頼に対しての調整力、イメージする商品に辿りつきそうかどうかなどで判断していきましょう。
最小本数(最小ロット)は何本から作れるか確認してみよう
受託会社は数百社存在し、それぞれ製造を請け負ってくれる最小ロット(最小本数)も違います。
100本から可能な会社もあれば、3,000本からの会社もあります。
予算や展開規模、在庫スペースなど自社の状況を鑑みながら希望するロットで製造してもらえる受託会社を選ぶことが重要です。
コスト(価格)を比べてみよう
コストも各受託会社によって変わりますが、基本的にはロットが大きいほど1本あたりのコストは下がります。
また、各会社ごとに経済ロット(一定以上のロットを超えると価格が大きく下がる)があるため、小ロットだと一番コストが高いところでも、ロットが大きくなれば一番コストを抑えられるようになる場合も出てきます。
希望するロットでのコストと、経済ロットの両方を確認すると良いでしょう。
担当してくれる営業さんに問題は無さそうか
受託会社の担当営業によって最終的な製品の完成度はもちろん、納品までの進行にも大きく差が出てきます。
受託会社の候補を何社かに絞った段階で担当となる営業に会ってみて、提案の内容や段取りのスピードなどどんな人物か判断すると確実です。
動きの遅い担当者となった場合、後に情報の捉え方や解釈の違いなどからトラブルがおこる危険性が高まります。
2、製造にかかる費用を抑える
PB商品を作るのに必要な資材とそのコストを解説します。
バルク(中身)
バルクの製造にかかる費用はつくる商品の品目(ヘアシャンプーなのか、化粧水なのか)や処方(どういった成分をどのくらい配合するのか)によって変わってきます。
また、受託会社が既に持っている既存処方をベースにするのか、または新規で処方を組むのかによっても変わります。
その他、どうしても入れたい成分がありその成分を受託会社が持っていない場合などは、新たに原料を仕入れる必要があるため、費用は高くなります。
おおよその費用目安としては、シャンプーを500本製造で500,000円(1本あたり1,000円)くらいになると考えておくと良いでしょう。
容器
容器は基本的に自社で容器メーカーなどから仕入れをして受託会社へ支給することになります。
材質や大きさ、形状やデザインなど様々な種類があり、さらに容器に希望の色味を着色したりも可能です。それぞれに最低ロットと単価が存在します。
※大抵は容器メーカーがつくる容器の中から選定していくことになりますが、費用とロットを許容できるのであれば一から金型をつくって完全オリジナルボトルをつくることも可能です。
容器はPBの費用の中でも大きな割合を占める部分でもあり、選ぶ容器によっては全体の費用にも大きく影響してきますので、商品イメージに合うかどうかとあわせて、ロットやコストとのバランスも考慮しながら選定していきましょう。
その際、容器とバルクには相性がありますので(容器の材質とバルクに含まれる成分の相性に問題があると容器の変形や漏れなどが発生する可能性があります)、選ぶ容器が適切な容器であるかどうかは必ず受託会社への確認が必須です。
おおよその費用目安としては、容器1,000本で80,000円(1本あたり80円)、ポンプが1,000本で80,000円(1本あたり80円)、容器着色をする場合最低ロット3,000本で1本あたり容器代+50円くらいになります。
パッケージデザイン
デザインは、ラベルまたは容器印刷(容器に直接デザインを印刷する)の2パターンになります。
ラベルは容器印刷に比べ小ロットでも印刷が可能なことと、印刷業者によっては比較的安価で印刷できるためコストを抑えられるのがメリットです。
また、複数のラインナップで商品を製造する場合は、共通の容器でラベルだけ替えるといったこともできるので、更なるコスト削減にも繋がります。
デメリットとしては、容器印刷に比べ高級感の点で見劣りしやすくなります。容器印刷の方は、ラベルとは逆に高級感を出せるところがメリットになりますが、デメリットはロットの制約が大きい(容器印刷は1,000本から)のと、コストが高くなることです。
PB商品を小ロットで製造予定(1,000本以下)の場合はラベル、1,000本以上製造予定の場合はラベルか容器印刷両方から選べる、といったイメージを持っておくと良いでしょう。
おおよその費用目安としては、ラベルはCMYK4色フルカラーラベル500枚で25,000円(1枚あたり50円)、容器印刷は、最低ロット1,000本で1本あたり容器代+30円くらいです。
その他
もしシュリンクや化粧箱など商品の包装を考えている場合は別途用意が必要となります。
シュリンク、化粧箱ともロットの制約が大きい場合も多いため、包装はなしで製品化する選択肢も必要となってきます。
化粧箱はロットによる価格の変動が特に大きい為、3,000枚以上で発注するのが望ましいです。おおよその費用目安としては、化粧箱500枚で50,000円(1枚あたり100円)くらいになります。
実際に作った場合の費用を具体例
例)シャンプーのPB商品を作るケースの費用
【仕様】容量:300mL/ロット:1,000本/容器・デザイン:樹脂ボトル(着色無し)・ポンプ・ラベル対応・化粧箱なし
【費用概算】
バルク(840,000円)+容器・ポンプ(160,000円)+ラベル(50,000円)
/計1,050,000円(1本あたり1,050円)
3、どうやって売っていけばいいの?
不良在庫にならない為にやらなければならないこと。
あなたの作ったPB商品は、どのようなニーズや悩みを持つ方をターゲットにした、どんな強みのある商品でしょうか?市場にモノが溢れている現在、“良い商品”だけでは売れる保証はありません。
事前にしっかりとニーズを読み、ターゲット層とコンセプトを考えた商品であれば、必ず必要としているお客様が存在します。
やみくもにターゲットを広げ幅広く売ろうとするのではなく、まずは決めたターゲット層に深く訴求することだけを意識していきましょう。ターゲット層に商品を買ってもらうためにはどんな販売チャネルでどのようなプロモーションであれば響くのか、そこだけに注力していくことが鍵となります。
■新しいPB商品の作り方が生まれてきています
リスク最小限で作れる新しいPB手法
現在、商品を一から作るやり方以外にも受託会社が用意する数種類の中身、容器、ラベルデザインの中から好みの仕様をチョイスすることで自由にカスタマイズできるやり方や、中身と容器が決まっている完成品にオリジナルラベルだけ貼るといったやり方も増えてきています。
この手法であれば一から作るよりもロット制約も少なくなり、数十本からということも多くなります。
自社の予算や展開規模を考え、小ロットで費用を抑えてスタートしたい場合などはこういった手法がおススメになります。
新しいPB手法でおススメの会社を紹介
PBは、初期費用や在庫リスク、保管スペースの確保など大きな費用と高いリスクが発生します。
さらにそのオリジナル商品が確実に売れる保証はどこにもない為、様々なリスクの観点からまだまだ手軽には手が出しにくいというイメージがあります。
そんな中で現在、受託会社ではなく自社ブランドを販売する化粧品販売メーカーが製造から企画・販売のサポートまでしてくれるという新たな選択肢が出てきています。
化粧品販売メーカーに依頼する大きなメリットとしては、容器や中身などの資材をメーカーと共有することでロットのリスクを大幅に減らしたり、中にはバルク(中身)をメーカーの既製品から提供してもらうことで数本単位からオリジナル商品をつくれる場合もあります。
その他、実際に自社ブランドを販売しているメーカーだからこそ持っている販売のノウハウや具体的なアドバイスなどのサポートを受けられるといった販売面でのメリットもあります。
最初は費用とリスクをできる限り抑えてスタートしたい場合も多いかと思いますが、そのような時は受託会社ではなく、化粧品販売メーカーに依頼してみることをおススメします。
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