化粧品OEMの進め方。化粧品が完成するまでの道のりを紹介します
何か独自の化粧品を作ってビジネスを展開できないだろうか?
ユニークなビジネスアイデアを思いついた!
そんなふとしたきっかけで、化粧品ビジネスを展開しようかという考えに辿り着いた方も多いのではないでしょうか。
オリジナル化粧品を作ることは、難しいことではなく、進め方自体はとてもシンプルです。
しかしながら、化粧品業界の特徴的なポイントなどもいくつか存在しているため、まずはおおまかに化粧品完成までの道のりを確認してみましょう。
【STEP 1】商品コンセプトと販売戦略の検討
※作業期間目安:1週間~
まずは商品のコンセプトやターゲット層を決めて、つくりたい化粧品のイメージを固めます。その際、販売する際のチャネル(販路)やプロモーション方法などもあわせて考えておきましょう。
【STEP 2】処方開発(バルク)
※作業期間目安:2週間~
◇試作品
受託会社へ商品イメージや要望を伝えた上で試作品を依頼します。試作品は大抵の場合2週間以内には届きます。テストと評価を繰り返し、納得がいくまで改良を行っていきます。
◇処方確定
改良を経て、納得のいく試作品が出来上がったら処方確定です。
※医薬部外品を希望している場合は、化粧品に比べ処方が完成するまでのリードタイムがかなり長くなる(処方申請、承認を受けるまでに6ヵ月以上)ので注意が必要です。
【STEP 3】製品仕様の検討
※作業期間目安:1週間~
◇容器選定
容器は材質や形状、容量など様々な種類があります。商品の中身やイメージするデザインにあわせて選んでいきましょう。
◇デザイン作成
商品コンセプトや容器にあわせてデザインを作成していきます。
デザインは、“容器へ直接印刷”または“ラベル”の2択になります。
◇包装の有無
化粧箱をつける、またはシュリンクで包装をするかどうかを決めます。
化粧箱を使用する場合は、紙質や仕様の選定と化粧箱用のデザイン作成も必要です。
◇製品仕様の決定
主に容器、デザイン、ラベル(または容器印刷)、包装の有無などの製品仕様を確定します。
【STEP 4】見積り・契約・発注
※作業期間目安:1週間~
◇見積り
バルクの処方と製品仕様の確定後、受託会社に見積をもらって最終確認をします。
◇契約
見積り内容に問題がなければ、製造委託契約書や機密保持契約書、取引基本契約書など、依頼する受託会社規定の契約を交わします。
◇発注
受託会社が定める発注方法に則って発注をします。
【STEP 5】生産・納品・支払
※作業期間目安:2ヶ月~
◇生産
決定した処方・仕様・発注数で生産されます。
◇納品
品質検査後、指示した場所・期日に納品されます。
◇支払
初回取引の場合は、全額前金払いのところが殆どです
依頼から完成までの最短期間=2ヵ月~
■化粧品OEMにおける進行プロセスごとのポイント
【STEP 1】コンセプト検討、販売戦略
受託会社へOEMの依頼する前に考えておかなければならない重要な点が3つあります。
それは、「なぜ化粧品OEMをつくるのか」という目的の確認、「どんな商品をつくるのか」の商品コンセプト立案、そして「どのように販売していくか」の販売戦略です。
「なぜ化粧品OEMをつくるのか」の目的については、ビジネスとして利益を上げたいのか、こだわりのモノを世の中のヒトに届けたいのか、目的を明確にしておくことでブレない軸をつくっておくことが重要です。
それがあることで、何かで迷った時や悩んだ時に立ち返れる場所となり、また軌道修正をしなければならない場合がきても、変わらない目指すべき方向性となります。
「どんな商品をつくるのか」の商品コンセプトも重要です。
市場にモノが溢れている昨今、“良い商品”をつくるだけでは確実に売れる保証はどこにもありません。どのようなニーズや悩みがあるのか、どのような商品であればそのニーズや悩みに応えられるのか、しっかりと検討していきましょう。
「どのように販売していくのか」の販売戦略も事前にしっかりと立てておくべきです。化粧品OEMはつくって終わりではありません。
せっかく良い商品をつくってもお客様の元に届かなければ意味がありません。どのようなヒトに使ってもらいたいのか、そのためにはどのようなプロモーションであればターゲット層に響くか、マーケットを的確に捉え、本当に必要とされる商品になるよう戦略を練っていきましょう。
その他、検討する必要があるのは、スタート段階で展開するラインナップです。基本はまず1商品から、多くても2、3商品までに絞ってスタートするのが鉄則です。
化粧品の販売には、商品の製造以外にも様々な費用がかかります。まずは最小限の品数で確実にターゲットに訴求していくことが大切です。販売が順調に進み、ブランドを確立した後にラインナップを増やし充実を図っていくのがセオリーとなります。
【STEP 2】処方開発
試作品は、イメージする化粧品を具現化していくための受託会社との共同作業です。
出来上がった試作品は、自分で使用するのはもちろん、できるだけ多くの人にモニターをお願いしましょう。少ない人数では評価が偏る可能性が出てきます。
髪質・肌質は十人十色です。多くの人に試してもらう事で、様々なサンプルが集まります。また、評価を集める際は口頭ではなくアンケート形式にし、さらに評価項目を数値化(例えばシャンプーであれば泡立ちの良さの項目を5段階から選んでもらうなど)することで、モニターの評価を見える化し、統計もしやすくなります。
その後は、最初の試作品の評価を元に次回の改良点を受託会社へ伝え、改良試作品をつくってもらいます。改良試作品を同じようにアンケートで評価し、再度改良点を伝えて試作をお願いするプロセスを何度か繰り返して、イメージする商品に近づけていきます。
そして、この試作品の評価と改良点を受託会社へ伝える時が最大の重要ポイントです。
“もう少し使用感を上げてほしい”や“できるだけ質感を軽くしてほしい”などの感覚的なニュアンスでは相手に伝わりにくい為、どこをどの程度改良すればいいのか認識の差が出てきてしまいます。改良を依頼する場合は、数値化した評価の統計とそれに伴う改良点を具体的に伝えることが次回試作品のクオリティUPと試作に費やす期間の短縮に繋がります。
なお、並行して何社か受託会社へ試作品を依頼している場合は、この段階で各受託会社の試作品を比較し、イメージする商品に辿りつきそうな先の中から最終的に製造を委託する会社を決めていきます。
【STEP 3】製品仕様の検討
容器については、自社で手配し受託会社へ支給するか、受託会社へ一任するかの2択となります。
自社で調達する流れとしては、化粧品容器を製造している容器メーカー、または色々なメーカーの容器を仕入れて販売している容器ディーラーに発注し、受託会社へ支給してバルクを充填してもらうことになります。
その際の注意点としては、容器とバルク(中身)には相性があり、容器の材質とバルクに含まれる成分の相性に問題があると容器の変形や漏れなどが発生する可能性がある為、選ぶ容器が適切な容器であるかどうかを必ず受託会社へ確認しましょう。
大切なのは、容器選定の際には必ず受託会社・容器会社と密に連携を取り、容器の材質や形状、実際にバルクの入る容量などに問題がないかアドバイスをもらいながら、後々トラブルが起こらないようにしていくことです。
デザインについては、ラベルまたは容器印刷(容器に直接デザインを印刷する)の2択になります。それぞれメリット・デメリットがあり、ラベルのメリットは容器印刷に比べ比較的安価なのとロットもある程度融通がききます。
また、最初から複数のラインナップで商品を製造する場合など、共通の容器でラベルだけ替えるといったこともできるので、コスト削減に繋がります。デメリットとしては、容器印刷に比べ高級感の点で見劣りしやすくなります。
容器印刷の方は、メリットとしてはラベルとは逆に高級感を出せるところになります。デメリットはロットの制約が大きい(容器印刷は1,000本から)のと、コストが高くなることです。
ラベルは小ロット製造向き、容器印刷は大ロット製造向きというイメージです。
その他、ラベル、容器印刷どちらの場合でも必要となるのが裏面の表示内容です。表記しなくてはならない内容は薬事法で定められているので、受託会社へ確認を取りながら進めていく必要があります。
【STEP 4】見積り・契約・発注
ここまでの進行過程で、既に発注の最低ロットや単価は確認してきているかと思います。最終見積りに記載されている発注ロットや単価に問題がなければ発注をしましょう。
初回に発注するロットはあくまでも販売計画と販売予測に沿ったロットで発注するのが重要です。
もちろんロットを大きくすれば単価は下がりますが、初回はできるだけリスクを抑えてスタートすることをおススメします。順調に販売本数が増えてきてから発注ロットを増やしていく考えでいましょう。
その他、発注とあわせて大抵の場合は受託会社と取引契約書を交わします。
契約の内容は受託会社によって変わりますので、内容と条件をよく確認し了承の上でサインしましょう。
【STEP 5】生産・納品・支払
契約・発注が無事終われば、受託会社の方で予定している納期に合わせて必要な手続きから生産、製品検査、納品まで進めてくれます。
納品は一括納品が基本になりますが、分納などの希望がある場合は事前に相談することをおススメします。
支払いは初回は前金払い、2回目以降は支払い方法を協議して決める場合が多いので、支払い期限までのキャッシュフロー管理は怠らないようにしましょう。
■まとめ
・化粧品のOEMは依頼から納品まで最短で2ヵ月(※医薬部外品の場合は+6ヵ月以上)
・OEMをつくる目的・商品コンセプト・販売戦略は入念に検討する
・試作品依頼・改良依頼は感覚的なニュアンスではなく、より具体的な表現で伝える
・製品仕様(容器・デザインなど)は受託会社と密に連携をとりながら決める
・初回の発注は販売計画に沿った、できるだけリスクの少ないロットで行う
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