ヘアシャンプーをOEMでつくる場合の流れや費用の詳細を紹介

シャンプーは生活必需品です。それ故に一度気に入ってもらえればリピート性も高く、定期的な購入も見込めます。


そういった意味でビジネスツールとしての魅力ももちろんですが、思い描く理想の商品をつくりたい、自分と同じ悩みを持つ人が使い続けられる商品を届けたいなど、色々な想いをカタチにできるのがOEMの魅力でもあります。


OEMとは自社ブランドの製品をつくって販売したい企業がOEM受託会社に製品の製造を依頼することです。


シャンプーをつくるには製造設備や専門の技術・知識、製造販売の許可等が必要となりますが、それらを持ち合わせていない企業でも商品を製造できる設備や技術を持つOEM受託会社へ依頼することでオリジナルのシャンプーを作ることが可能となります。

■シャンプーOEMの流れと期間


【STEP 1】商品コンセプトと販売戦略の検討/※作業期間目安:1週間~

まずは商品のコンセプトやターゲット層を決めて、つくりたい商品のイメージを固めます。その際、販売する際のチャネル(販路)やプロモーション方法などもあわせて考えておきましょう。


まず最初に「なぜオリジナルシャンプーをつくるのか」という目的を明確にしておきましょう。方向性に迷った時にブレない軸があることが大切です。


商品コンセプトは、市場にモノが溢れている現在、“良い商品”だけでは売れる保証はありませんので、どのようなニーズや悩みがあってどのような商品であればそれに応えられるのかを踏まえ「どんなシャンプーをつくるのか」考えていきましょう。


そしてその商品がターゲット層の元にしっかりと届くためにはどの販売チャネルで、どのようなプロモーションであればよいのかを考え、「どのように販売していくか」の販売戦略を練っていきましょう。


その他、スタート段階で展開するアイテムはシャンプーのみなのか、シャンプー・トリートメント両方つくるのかも検討します。


ここでは最初はアイテム数を絞ってシンプルにターゲットに訴求していく方が確実です。ラインナップの拡充は、販売が順調に進んだ後でも遅くありません。


【STEP 2】処方開発(バルク)/※作業期間目安:2週間~

◇試作品

受託会社へ商品イメージや要望を伝えた上で試作品を依頼します。試作品は大抵の場合2週間以内には届きます。

テストと評価を繰り返し、納得がいくまで改良を行っていきます。


試作はイメージする化粧品を具現化していくための作業です。


試作品は、自分で使用する以外にもできるだけ多くの人にモニターをお願いして満遍なく評価を集めましょう。


また、試作品の評価と改良点を受託会社へ伝える際は、感覚的なニュアンスではなく、どこをどの程度改良してほしいのか具体的に伝えることが次回試作品のクオリティUPと試作に費やす期間の短縮に繋がります。


なお、並行して何社か受託会社へ試作品を依頼している場合は、この段階で各受託会社の試作品を比較し、イメージする商品に辿りつきそうな先の中から最終的に製造を委託する会社を決めていきます。


◇処方確定

改良を経て、納得のいく試作品が出来上がったら処方確定です。

※医薬部外品を希望している場合は、化粧品に比べ処方が完成するまでのリードタイムがかなり長くなる(処方申請、承認を受けるまでに6ヵ月以上)ので注意が必要です。


【STEP 3】製品仕様の検討/※作業期間目安:1週間~

◇容器選定

容器は材質や形状、容量など様々な種類があります。商品の中身やイメージするデザインにあわせて選んでいきましょう。


容器は基本的には自社で手配し受託会社へ支給することになります。

容器選定の際には必ず受託会社・容器会社と密に連携を取り、容器の材質や形状、実際にバルクの入る容量など選ぶ容器が適切な容器であるかどうか・問題がないかどうかアドバイスをもらいながら進めていくのが大切です。


◇デザイン作成

商品コンセプトや容器にあわせてデザインを作成していきます。デザインは、“容器へ直接印刷”または“ラベル”の2択になります。


デザインについては、ラベルまたは容器印刷(容器に直接デザインを印刷する)の2択になります。


それぞれメリット・デメリットがありますが、商品を小ロット製造予定(1,000本以下)の場合はラベル一択、1,000本以上製造予定の場合はラベルか容器印刷で選べるといったイメージです。


◇包装の有無

化粧箱をつける、またはシュリンクで包装をするかどうかを決めます。化粧箱を使用する場合は、紙質や仕様の選定と化粧箱用のデザイン作成も必要です。


◇製品仕様の決定

容器、デザイン、ラベル(または容器印刷)、包装の有無などの製品仕様を確定します。


【STEP 4】見積り・契約・発注/※作業期間目安:1週間~

◇見積り

バルクの処方と製品仕様の確定後、受託会社に最終見積をもらって確認をします。


◇契約

見積り内容に問題がなければ、製造委託契約書や機密保持契約書、取引基本契約書など、依頼する受託会社規定の契約を交わします。


◇発注

受託会社が定める発注方法に則って発注をします。

初回に発注するロットはあくまでも販売計画と販売予測に沿ったロットで発注するのが重要です。初回はできるだけリスクを抑えて小ロットでスタートすることをおススメします。


順調に販売本数が増えてきてから発注ロットを増やしていく考えでいましょう。


【STEP 5】生産・納品・支払/※作業期間目安:2週間~

◇生産

決定した処方・仕様・発注数で生産されます。


◇納品

品質検査後、指示した場所・期日に納品されます。


◇支払

初回取引の場合は、全額前金払いのところが殆どです


※依頼から完成までの最短期間目安=2ヵ月~


■化粧品OEMに必要な資材と各費用について


【中身の費用とロットについて】

中身のコストに関わる要素は大きく2つ、「処方」と「ロット」です。


処方は、配合する成分の種類や濃度、ベースを受託会社が持っている既存処方か、新規で処方を組んでいくかなど変わってきます。

その他、どうしても入れたい特殊な成分や香料がある場合、受託会社が持っていないと新たに原料を仕入れる必要があるため、費用は高くなります。


ロットは、基本的には生産ロットが多くなる程1本あたりのコストは下がります

※費用目安:ヘアシャンプー500本/500,000円~(1本あたり1,000円~)


【容器の費用とロットについて】

化粧品容器には材質や大きさ、形状やデザインなど様々な種類があり、各容器に単価と最小ロットが存在します。

基本は容器メーカーがつくる容器の中から選定していくことになりますが、費用とロットを許容できるのであれば一から金型をつくって完全オリジナルボトルをつくることも可能です。


商品の中身やイメージするデザインにあわせて容器を選んでいきましょう。


○容器材質

化粧品容器の材質には、大きく分けて「樹脂」と「ガラス」の2種類があります。


樹脂は、形状が豊富で、軽くて安価なのが特徴です。ガラスは高級感と重厚な質感、空気を通さない為製品の中身の安定性を保てるのが特徴です。


ただ、樹脂に比べると重いのと衝撃に対しての弱さ、コスト高などのデメリットもあります。シャンプーであれば樹脂です。


○形状

シャンプー(トリートメント)で使用する容器の形状には、主にボトルタイプ、チューブタイプ、ジャータイプの3タイプがあります。


ボトルタイプは、シャンプー・トリートメント両方で使え、サイズや形も豊富で最も一般的です。

チューブタイプは、シャンプー・トリートメント両方で使えますが、サイズや形状にバリエーションが少ないのとロットが大きくなるのが難点です。

ジャータイプは、粘性の高いヘアトリートメントなどのペースト状の製品に適していますが、使う際の手間や衛生的な問題があります。


費用目安:1容器1,000本/80,000円(1本あたり80円)


○容量(サイズ)

容量の大きい容器の方が価格は高くなる傾向にあります。

小さい容量の容器は価格が多少安くなる分、比較的最低ロットが大きくなる傾向があります。


○キャップ/ポンプ

コストとしてはスクリューキャップ<ワンタッチキャップ<ポンプの順で高くなります。

費用目安:キャップ1,000個/30,000円(1個あたり30円)

費用目安:ポンプ、スプレー1,000本/80,000円(1本あたり80円)


○容器印刷、着色

容器は無色透明や白色のものがほとんどです。オリジナリティを出す方法として、容器に直接デザインを印刷したり、容器に着色をしたりする方法があります。

費用目安:容器印刷・最低ロット1,000本/1本あたり容器代+30円

費用目安:容器着色・最低ロット3,000本/1本あたり容器代+50円


○化粧箱

化粧箱は、紙の材質や形状、大きさ、仕様などで価格は変化します。

また、特殊な紙を使用したり特殊な加工を施すと更に価格が上がります。


化粧箱はロットによる価格の変動が特に大きい為、3,000枚以上で発注するのが望ましいです。

費用目安:500枚/50,000円(1枚あたり100円)


【ラベルの費用とロットについて】

小ロットでの製造を予定している場合など、最低ロットが1,000本の容器印刷だと負担がかなり大きくなってしまう為、デザインはラベルで対応するのがおススメです。


その場合、デザインに箔(ゴールドやシルバー)を入れると価格が跳ね上がりますので注意が必要です。ラベルも化粧箱同様、ロットによる価格の変動が大きいため、大きいロットでの発注が望ましいです。


費用目安:CMYK4色フルカラーラベル500枚/25,000円(1枚あたり50円)

費用目安:箔入りラベル500枚/75,000円(1枚あたり150円)


■具体的な費用目安

例)シャンプーをOEM受託会社に依頼して製造するケース

◇容量/300mL

◇ロット/1,000本

◇仕様/樹脂ボトル(着色無し)・ポンプ・ラベル・化粧箱なし

バルク(840,000円)+容器・ポンプ(160,000円)+ラベル(50,000円)

/計1,050,000円(1本あたり1,050円)


■化粧品OEMで費用を抑える手法


・バルク(中身)の費用を抑える方法

新規の処方を一からつくっていくよりも、受託会社で持っている既存処方をベースにして、受託会社が持っている原料の中から追加する成分を選んで処方を組み立てていくことが最も費用を抑えられます。また、成分もオーガニック成分やナチュラル成分よりもケミカル成分の方が安価な場合も多いので、求める品質と費用のバランスを考えながら調整していくのが良いでしょう。


・容器の費用を抑える方法

同じような形状の容器であっても、容器メーカーによって1本あたりの単価が違います。何社か容器メーカーに問い合わせてみて一番安いところを探すことでもコストは下がります。その他、いくつか商品ラインナップを揃える場合などは、すべての容器を共通にすることで発注するロットが増え、スケールメリットを得られます。


・ラベルの費用を抑える方法

ラベルを自社で手配し、受託会社へ支給するのが最も費用を抑えられます。その場合は、容器に合うラベルの材質や形状、サイズ、粘着力、耐水性の有無などの仕様を細かく受託会社に確認した上で進めることが大切です。


■シャンプーOEMのメリット

①製造環境(製造に必要な設備、知識、技術、許可等)が無くても自社商品がつくれる

OEMであれば、自社で工場や機材などの設備、原料などの資材、専門の知識を持った技術者などを用意する必要がないため、それらにかかる莫大な投資を必要とせず商品を製造することが可能となります。


商品をつくって販売するといった流れの「つくる」部分だけを業務委託するイメージです。また、化粧品の製造・販売をする際には「製造業許可」、「製造販売業許可」の取得が薬事法で義務付けられていますが、OEMであれば自社での取得手続きが不要となります。


商品開発から製造までを受託会社へ委託することで本来化粧品製造に必要となる諸々のコストを省き、リソースを商品の販売や企画などのマーケティングに投入することができます。


②中身からデザインまで理想の商品がつくれる

OEMのメリットは自社が思い描く理想の商品がつくれることです。


自社で熟考した商品コンセプトにあわせて、中身や容器、パッケージデザインを組み合わせていくことで世界に1つだけの商品をつくることができます。


➂販売価格と利益率を自社で自由に設定できる

OEMでは、販売価格と利益率は自社で自由に設定することができます。


ただ、この価格設定はマーケティング上非常に重要ですので、「原価」を考慮して販売価格がいくらであれば適切な利益を得られるか、商品の「需要」を考慮して、購入する顧客側の立場になった場合いくらであれば商品を購入するのか、逆にいくら以上だったら購入しないのか、競合他社商品との「競合状況」を考慮して、競合商品の価格よりも低く設定するのか、高く設定するのか、または同一価格にするのかなど、あらゆる要素を加味した上で、適切な価格設定を目指しましょう。


■シャンプーOEMのデメリット


①生産ロットが大きい

最小ロットは受託会社によってもかわりますが、おおよそ1,000本からのところが多い状況です。

ロットが大きくなれば比例して費用も大きくなります。中身や容器などどの程度こだわっていくかにもよりますが、できるだけ小ロットで対応してもらえる受託会社に依頼することで解消していきましょう。


②商品の在庫リスクと在庫スペース確保の心配

生産ロットが大きくなればなるほど在庫リスクは高まります。また、大量の商品を置いておく在庫スペースの確保も必要となります。ここの観点からも、できるだけ小ロットで生産

することがキャッシュフローを安定させることに寄与すると言えます。


➂ブランド認知度が0からのスタート

どんなブランドも最初は認知度0からのスタートです。


どんなに良い商品をつくっても、顧客に存在を知ってもらえなければ価値を提供することすらできません。

また、市場にあらゆるモノが飽和している現在、“良い商品”をつくっただけでは幾多ある商品の中の1つとして世の中に埋もれてしまいます。


まずは認知してもらうためのプロモーションが必要となってきますが、むやみやたらに打ち出すだけでは費用だけかかって効果がない場合が殆どです。

自社商品のコンセプトや強み、差別化ポイントをターゲット層に最大限訴求できる媒体に絞り、費用対効果とのバランスを見ながら適切なプロモーション戦略を展開していくことで認知度を高めていきましょう。


■OEMに新しい選択肢が生まれてきています


◇初期費用や在庫のリスクを最小限に抑えてつくれるOEM手法

現在、OEMの新たな主流になりつつあるのが、受託会社が用意する何パターンかの中身、容器、ラベルデザインの中から好みの仕様をチョイスすることで自由にカスタマイズできるやり方です。

一から処方をつくるOEMよりもロット制約が少なく、100本以下でつくれる場合が多くなります。その他、中身と容器が決まっている完成品にオリジナルラベルだけ貼るといったやり方もあります。

こちらは、更にロットの制約が少なくなり、数本~数十本でつくれます。


中身や容器など、どの程度こだわっていくかにもよりますが最初は小ロットでリスクをできるだけ抑えてスタートする場合におススメです。


◇新たなディレクション企業の参入

現在、OEMを受託会社に依頼する以外に、自社ブランドを展開し販売のノウハウを持つヘアケアメーカーにOEMを依頼するという新たな選択肢が登場してきています。


実際に自社ブランドを販売しているヘアケアメーカーだからこそできる販売戦略の具体的なアドバイスを含め、製造から企画・販売まで一貫してサポートしてくれます。


ヘアケアメーカーとのタッグはその他にもバルク(中身)を、メーカーが市場で販売している既製品から提供してもらうことで数本単位からオリジナル商品をつくれるなどの取り組みをしているところもあります。


最初は費用とリスクはできる限り抑えてスタートした方が良いため、その場合はOEM受託会社ではなくヘアケアメーカーに依頼するのをおススメします。

化粧品OEMマッチング事務局

化粧品OEMビジネスの立上げ支援に関する専門支援企業です。