化粧品OEMにかかる費用はどのくらい?費用の詳細や具体例を紹介
化粧品OEMビジネスを始めよう!と考えた時に、普通だと、どの程度の資金が必要になってくるのか。
ここでは、オリジナル化粧品づくりに必要な資材とその価格についてお伝えしていきます。
■化粧品OEMに必要な資材と各費用について
【中身の費用とロットについて】
中身の製造にかかる費用はつくる商品のカテゴリー(ヘアシャンプーなのか、美容クリームなのか)や処方(どういった成分をどのくらい配合するのか)によって変わってきます。
また、受託会社が既に持っている既存処方をベースにするのか、または新規で処方を組むのかによっても変わります。
その他、どうしても入れたい成分がありその成分を受託会社が持っていない場合などは、新たに原料を仕入れる必要があるため、費用は高くなります。
ロットは受託会社によって製造を請け負ってくれる最小ロットが違います。
100本から可能な会社もあれば、3,000本からの会社もあります。小ロットで生産できる方が費用や在庫リスクも抑えられる反面、1本あたりの原価はかなり高くなります。
大きなロットでの生産は費用や在庫リスクは高くなりますが、1本あたりの原価は抑えられます。予算や展開規模、在庫スペースなど自社の状況と価格のバランスを見ながら適切なロットで製造することが重要です。
その他、商品の分類を「医薬部外品」か「化粧品」のどちらにするかでも多少費用が変わる場合が出てきます。
「医薬部外品」とは、厚生労働省が許可した効果効能のある有効成分が一定の濃度で配合されている製品の事で、“治療”を目的とした「医薬品」よりも効果が穏やかで“予防・衛生”を目的に作られています。なお〈薬用〉と表記されているものは医薬部外品になります。
「化粧品」は、「医薬部外品」と比べて効果・効能が更に穏やかになり、身体を清潔にする、美化する、魅力を増す、健やかに保つなどの目的で使用される製品になります。
基本的には医薬部外品と化粧品で費用の違いはないのですが、医薬部外品で有効成分を高濃度配合する場合などは、化粧品よりも高くなる可能性はあります。
また、医薬部外品は製品化までにかなりの時間がかかる(最低でも1年以上)ため、医薬部外品にするのか、化粧品でいくのかは、どういった目的の商品なのか、どういった層をターゲットとするのかなどのコンセプトの部分と発売したいタイミングなどを鑑みて決めましょう。
費用目安:ヘアシャンプー500本/500,000円~(1本あたり1,000円~)
【容器の費用とロットについて】
容器は、見た目の演出や他商品との違いを出すためにもできるだけこだわりたいところです。
ただ、容器はOEM費用の中でも大きな割合を占める部分でもあり、選ぶ容器によっては全体の費用にも大きく影響してきます。
化粧品容器には材質や大きさ、形状やデザインなど様々な種類があり、各容器に最低ロットと単価が存在します。基本は容器メーカーがつくる容器の中から選定していくことになりますが、費用とロットを許容できるのであれば一から金型をつくって完全オリジナルボトルをつくることも可能です。
商品の中身やイメージするデザインにあわせて容器を選んでいきましょう。
容器材質
化粧品容器の材質には、大きく分けて「樹脂」と「ガラス」の2種類があります。
1、樹脂(プラスチック)
化粧品容器に使われている素材としては最もメジャーで、ガラスと比較しても軽くて安価なのが特徴です。
加工しやすく様々な形状にできる為、多くの種類があります。表面に着色・加工を施すことも容易です。
2、ガラス
ガラス特有の高級感と輝き、重厚な質感が特徴です。樹脂に比べるとコストは高くなります。
空気による中身の酸化や中身の成分によって容器が変質するおそれがないため、 製品の安定性が保ちやすくなります。ただ、重さと衝撃に弱いというデメリットもあります。
形状
化粧品容器の形状には、主にボトルタイプ、チューブタイプ、ジャータイプがあります。
ボトルタイプは、ヘアシャンプーなどのヘアケア製品や化粧水や乳液といったスキンケア製品などの粘性の低い液状製品の容器として適しています。
チューブタイプとジャータイプは、粘性の高いヘアトリートメントなどのヘアケア製品や保湿クリーム、ジェルなどのスキンケア製品などペースト状の製品に適しています。
費用目安:1容器1,000本/80,000円(1本あたり80円)
容量(サイズ)
容量の大きい容器の方が価格は高くなる傾向にあります。小さい容量の容器は価格は多少安くなる分、比較的最低ロットが大きくなる傾向があります。
キャップ/ポンプ
コストとしては、スクリューキャップ<ワンタッチキャップ<ポンプの順で高くなります
費用目安:キャップ1,000個/30,000円(1個あたり30円)
費用目安:ポンプ、スプレー1,000本/80,000円(1本あたり80円)
容器印刷、着色について
化粧品容器は、無色透明や白色のものがほとんどです。オリジナリティを出す方法として、容器に直接デザインを印刷したり、容器に着色をしたりする方法があります。
費用目安:容器印刷・最低ロット1,000本/1本あたり容器代+30円
費用目安:容器着色・最低ロット3,000本/1本あたり容器代+50円
化粧箱
化粧箱は、紙の材質や形状、大きさ、仕様などで価格は変化します。
また、特殊な紙を使用したり特殊な加工を施すと更に価格が上がります。化粧箱はロットによる価格の変動が特に大きい為、3,000枚以上で発注するのが望ましいです。
費用目安:500枚/50,000円(1枚あたり100円)
【ラベルの費用とロットについて】
小ロットでの製造を予定している場合など、最低ロットが1,000本の容器印刷だと負担がかなり大きくなってしまう為、デザインはラベルで対応するのがおススメです。
その場合、デザインに箔(ゴールドやシルバー)を入れると価格が跳ね上がりますので注意が必要です。ラベルも化粧箱同様、ロットによる価格の変動が大きいため、大きいロットでの発注が望ましいです。
費用目安:CMYK4色フルカラーラベル500枚/25,000円(1枚あたり50円)
費用目安:箔入りラベル500枚/75,000円(1枚あたり150円)
■その他必要となる資材と費用について
在庫保管費
商品を保管する倉庫を借りる場合や、物流倉庫へ商品の発送まで業務委託する場合には固定費として毎月費用が必要となってきます。費用は立地や広さ、保管量によって大きく変わります。
費用目安:倉庫レンタル(10坪)/月額140,000円~(+資材・発送コスト)
費用目安:物流外注(10坪)/月額400,000円~/月額1パレットあたり2,000円+α
運送費用
物流を外部に委託しない場合は、自社で在庫の管理から発送まで行わなければなりません。その場合、特に負担となるのが運送費用です。出荷ケースの大きさや重さ、数量によって変動します。配送費は各社で年々値上がりをしており、負担も大きくなってきています。
コスト目安:1発送あたり/700円~
運送用資材(ダンボールや緩衝材など)
商品の発送には、梱包資材も必ず必要となります。必要となるのは、主に商品を入れる箱(袋)と緩衝材です。商品のサイズや仕様によって最適なものを選定しましょう。
コスト目安:段ボール箱60サイズ/1枚50円~
コスト目安:緩衝材1ロール/1,500円~
ECサイト運用費や商標などの利用・更新費用など
ECサイトで販売をする場合は、サーバー代やドメイン代も必要コストとして発生します。
費用目安:サーバーとドメイン代/年間15,000円~
商標登録は必須ではありませんが、できればしておいた方が安心です。その場合は出願から登録、更新時に費用がかかります。
費用目安:5年間分商標登録/30,000円弱(弁理士に依頼する場合は+手数料)
その他、小売店などでも販売展開をする場合はJANコード(バーコード)の取得が必要となり、こちらも別途費用がかかります。
費用目安:JANコード登録管理費/3年間10,500円~
■具体的な費用目安
例)シャンプーをOEM受託会社に依頼して製造するケース
◇容量/300mL
◇ロット/1,000本
◇仕様/樹脂ボトル(着色無し)・ポンプ・ラベル・化粧箱なし
バルク(840,000円)+容器・ポンプ(160,000円)+ラベル(50,000円)
計1,050,000円(1本あたり1,050円)
化粧品OEMで費用を抑える手法
バルク(中身)の費用を抑える方法
新規の処方を一からつくっていくよりも、受託会社で持っている既存処方をベースにして、受託会社が持っている原料の中から追加する成分を選んで処方を組み立てていくことが最も費用を抑えられます。
また、成分もオーガニック成分やナチュラル成分よりもケミカル成分の方が安価な場合も多いので、求める品質と費用のバランスを考えながら調整していくのが良いでしょう。
容器の費用を抑える方法
同じような形状の容器であっても、容器メーカーによって1本あたりの単価が違います。何社か容器メーカーに問い合わせてみて一番安いところを探すことでもコストは下がります。
その他、いくつか商品ラインナップを揃える場合などは、すべての容器を共通にすることで発注するロットが増え、スケールメリットを得られます。
ラベルの費用を抑える方法
ラベルを自社で手配し、受託会社へ支給するのが最も費用を抑えられます。その場合の注意点としては、容器に合うラベルの材質や形状、サイズ、粘着力、耐水性の有無などの仕様を細かく受託会社に確認した上で進めることが大切です。
その他費用を抑える方法
OEMは、商品を一からつくるやり方以外にも受託会社が用意する数種類の中身、容器、ラベルデザインの中から好みの仕様をチョイスすることで自由にカスタマイズできるやり方や、中身と容器が決まっている完成品にオリジナルラベルだけ貼るといったやり方もあります。
その場合は一からつくよりもロット制約も少なくなり、数十本からということも多くなります。小ロットで費用を抑えたOEMとしておススメです。
■新しい取り組みも生まれていています
OEMは、初期費用や在庫リスク、保管スペースの確保など大きな費用と高いリスクが発生します。
さらにそのオリジナル商品が確実に売れる保証はどこにもない為、OEMは様々なリスクの観点からまだまだ手軽には手が出しにくいというのが現状です。
そんな中で現在、OEM受託会社ではなく自社ブランドを販売する化粧品販売メーカーが製造から企画・販売のサポートまでしてくれるという新たな取り組みが生まれてきています。
化粧品販売メーカーに依頼する大きなメリットとしては、容器や中身などの資材をメーカーと共有することでロットのリスクを大幅に減らしたり、中にはバルク(中身)をメーカーの既製品から提供してもらうことで数本単位からオリジナル商品をつくれる場合もあります
最初は費用とリスクをできる限り抑えてスタートしたい場合も多いかと思いますが、そのような時はOEM受託会社ではなく、化粧品販売メーカーに依頼してみるのもいいかもしれません。
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